電気化学発光(ECL)

 電気化学発光(ECL)は、電気化学的に生成した発光材料の励起状態から得られる発光現象です。このECLを素子に展開した場合、電極間に電解液を挟み込むだけというシンプルな素子構造のため、軽量かつフレキシブルな素子への展開が期待できます。本研究室では、以下のように様々な方法でECL素子の特性向上を目指して研究を行っています。

交流駆動による特性向上

 従来の直流電圧では、電極上で生成された活性種が溶液内を拡散するとき溶液内を長距離移動しなければならないため、発光までの時間が長い、拡散中に失活し発光強度が低下するなどの問題が生じました。そこで我々は、交流電圧を用いることでこの問題を解決しました。 

 交流電圧は単一電極上で電圧正負の極性が反転するため、同一電極上で酸化反応と還元反応を生じることができます。これにより電極近傍に酸化種および還元種が生成され、長距離移動せずとも衝突可能になり、飛躍的な応答速度や発光強度の向上を可能にしました。

交流駆動によるECL特性向上

1) Reaction Mechanism and Improved Performance of Solution-Based Electrochemiluminescence Cell Driven by Alternating Current. T. Nobeshima, K. Nakamura, N. Kobayashi, 2013, JJAP, 52, 5S1.

金属酸化添加物によるECL特性向上

 ECL素子の特性向上のためには、溶液内でのECL材料の酸化種と還元種の存在バランスを整えることが重要です。そこで我々は金属酸化物に着目しました。金属酸化物をECL溶液に分散させることで、ECL材料と電子移動反応を起こし、酸化種と還元種の存在バランスが改善されることを明らかにしました。結果として、未添加に比べ発光強度が約1.8倍素子寿命が約14倍と飛躍的に向上しました。

酸化チタン添加によるECL特性向上

1) Why were alternating-current-driven electrochemiluminescence properties from Ru(bpy)32+ dramatically improved by the addition of titanium dioxide nanoparticles? S. Tsuneyasu, K. Ichihara, K. Nakamura, N. Kobayashi, Phys. Chem. Chem. Phys., 2016, 18, 16317.